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テニスの「聖地」ウィンブルドン、センターコート100周年の歴史と特別感

2022 7/9 11:00田村崇仁
ウィンブルドンのセンターコート100周年記念セレモニー,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

記念式典にフェデラーやボルグら歴代王者登場

長い伝統と歴史を誇るテニスのウィンブルドン選手権は2022年、センターコートが100周年の節目を迎えた。

芝の養生のため、1年でもこの大会期間しか使われないことが有名で、アスリートにとっても「特別感」を際立たせる。

7月3日、盛大に行われた記念セレモニーでは観客席とロイヤルボックス(貴賓席)が埋め尽くされる中、男子でウィンブルドン歴代最多8度の優勝記録を持つロジャー・フェデラー(スイス)やジョン・マッケンロー(米国)ら多くの元チャンピオンが参加。

ビヨン・ボルグ(スウェーデン)、ロッド・レーバー(オーストラリア)、ビリージーン・キング(米国)、クリス・エバート(米国)、マルチナ・ヒンギス(スイス)といった往年の名選手も続々と登場し、観客の大歓声と拍手に包まれた。

公式サイトによると、膝のけがの治療で今大会欠場したフェデラーは「このコートで多くの試合をできた僕はとても幸運だし、他のチャンピオンたちと一緒にここにいられるのは素晴らしいことだ。このコートは僕に最大の勝利と最大の敗北をもたらしてくれた」とコメント。

2001年大会の4回戦で王者ピート・サンプラス(米国)をフルセットの末に倒し、自身初のセンターコートでの勝利を収めた思い出を振り返り、来年に再び戻ってくることを誓った。

雨が生んだ数々の名勝負、屋根設置も

センターコートはロンドンの同じ区内で移転した1922年以来、大会のメインコートとして数々のドラマを生んできた。このコートで戦えるのは原則、人気と実力が認められた選手に限られ、今大会でも4連覇を狙う第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)やラファエル・ナダル(スペイン)はセンターコートが割り当てられている。

ロンドンにつきものの雨も名勝負を演出してきた。2008年大会の男子シングルス決勝は6連覇を狙ったフェデラーとナダルが対決し、当時風物詩だった雨による2度の中断を挟んでナダルが勝利した時は日没後の暗闇の中で夜9時過ぎだった。その翌年から屋根が設置された歴史がある。

当時は日光が遮られることで芝の管理が懸案と指摘されたが、長年の技術革新で克服。屋根が付いて14年目の今年は伝統的に休養日としてきた大会期間中の中日の日曜日「ミドル・サンデー」にも試合が実施された。

コートの芝の養生や管理する技術が向上し、多くの観客が見込めることを理由に、センターコートの100周年を記念して今年から大会日程を変更した形だ。

白いウエア、芝のサーフェスの伝統は継続

ウィンブルドンは1877年から始まった世界最古のテニス大会であり、最も格式高い大会だ。「テニスの聖地」と称されて選手からも特別視されるように、独特の存在感がある。屋根がつき、形を変えながらも英国らしい伝統は息づく。

ウィンブルドンと言えば、白いウエア、芝生のサーフェス、会場内の企業広告制限が3本柱。今大会はロシア侵攻によるウクライナ危機が進行する中、選手たちが色のついたリボンを身につけることを特例措置として許したが、守るべきスタイルは変わらない。

会場内の名物グルメといえば、ストロベリー&クリームとジンをベースにしたカクテルのピムス。センターコートは第二次世界大戦中の1940年10月に砲撃を受けた過去もあるが、 新型コロナ禍も乗り越えていつもの華やかさが戻ってきた。そして今大会も記念すべき100周年の「芝の王者」が誕生する。

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