「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【函館2歳S】世代一番星へ、ブラックチャリスらが有力候補 前走の「コース」と「内容」がポイント

2025 7/13 17:10勝木淳
過去10年のデータから見る函館2歳S,ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

ⒸSPAIA

キーワードは牝馬、関西馬

函館6週間のラストは2歳チャンピオン決定戦。この5週間、函館でデビューした馬たちとその前の東京阪神デビュー組が激突。2023年生まれの一番星はどの馬か。

舞台は函館芝1200m。スピードと開催終盤の洋芝をこなす力が問われる。同時に仕上がり具体も重要で、比較的完成度が高い牝馬は過去10年【4-6-4-67】。3着以内に入らなったのは2016年と2019年だけ。人気薄の激走もあり、買い目から外せない。力量比較がほぼ困難な一戦だけに、データで好走候補を絞っていこう。データは過去10年分を使用する。


人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【3-1-0-6】勝率30.0%、複勝率40.0%をはじめ、2番人気【2-2-1-5】など4番人気以内8勝と上位人気は堅調。新馬のパフォーマンスが結果につながりやすく、力量を比べにくいものの序列はつけやすい。それが結果につながる年が多い。

ところが、10番人気以下も【2-1-4-49】勝率3.6%、複勝率12.5%と大穴激走も目立つ。上位人気か大穴か。わりと極端な傾向がある。半端な中穴狙いは空振りしがちだ。


所属別成績,ⒸSPAIA


東西関係なく競馬場の厩舎に滞在して過ごす函館開催は東西の施設の差はない。東西互角の傾向も、函館2歳Sに関しては美浦【2-4-6-53】勝率3.1%、複勝率18.5%に対して栗東【8-6-4-50】勝率11.8%、複勝率26.5%と関西馬が優勢。出走数は関東65、関西68とほぼ同じなので、関西馬の強さが際立つ。

一般的な傾向として、関西は仕上げが早く、関東は馬の成長に合わせて待つケースが多い。2歳、それも短距離で結果を残すのは仕上げの進み具合が重要。関西流の早めに仕上げ、賞金を加算してから成長を促すという手法が結果にあらわれている。


ポイントは好位に控えた経験

今年は芝1000mのレコードを更新したカイショーをはじめ、ブラックチャリス、阪神の新馬を勝ったマイオウンウェイなど関西馬が中心。今年も関西優勢は動かないか。


前走クラス別成績,ⒸSPAIA


前走新馬【7-9-9-79】勝率6.7%、複勝率24.0%に対して未勝利は【3-1-1-24】勝率10.3%、複勝率17.2%と、数を見ればやはり新馬経由が圧倒的だ。

ただし、少数の未勝利経由も確率を残しており、新馬組だけで買い目を固めるのは危険かもしれない。今年も未勝利転戦がいたら、その内容もきっちり精査しておこう。


前走函館新馬組・コース別成績,ⒸSPAIA


函館新馬組のコース別成績をみると、やはり同舞台の芝1200mが【4-5-5-40】勝率7.4%、複勝率25.9%と目立つも、ダ1000m【1-1-1-10】勝率7.7%、複勝率23.1%や芝1000m【1-0-1-10】勝率8.3%、複勝率16.7%と1000m組もなくはない。

芝ダート合算の前走1000m組は0.1秒差以上の勝利【2-1-2-15】、タイム差なし【0-0-0-5】。カイショーは0.5秒差つけて初陣を飾っており、好走候補に残る。ちなみに0.3秒差以上は【1-1-2-9】。ただし、これを位置取り別でみると先行【1-0-1-1】で逃げは【0-1-1-8】。逃げ切ったカイショーはちょっと微妙か。

函館ダート1000m新馬を勝ったスターオブロンドンは着差こそ0.1秒差と物足りないが、4番手から抜け出したレース振りは評価できる。


前走函館芝1200m新馬組・位置取り別成績,ⒸSPAIA


芝1200mの新馬組もレース内容はカギ。逃げた馬【0-1-2-16】複勝率15.8%、先行は【4-4-3-21】勝率12.5%、複勝率34.4%と控える競馬の経験がモノをいう。

基本的に逃げ、先行で勝ち上がった馬同士のレースであり、それぞれ思惑が交錯する。逃げた馬のなかでも、2戦目も逃げを選ぶこともあれば、新馬はスピードの違いでハナに立ったが、本来は控える競馬を試したいと考える陣営も。重賞を逃げて押し切るのは難しく、2戦目で控える競馬で結果を残すのも簡単ではない。

理想は初戦から好位に控え、ひと溜めしてから抜け出しての新馬勝ち。ブラックチャリス、クラディスティーナは内容も合格ライン。有力候補だろう。


過去10年のデータから見る函館2歳S,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

《関連記事》
【函館2歳S】特別登録馬一覧
丹内祐次騎手が前年比36勝増の100勝超ペース 2025年上半期「躍進した騎手、低迷した騎手」
【競馬講座】函館芝レース 超おすすめの攻略データ3つを紹介【動画あり】