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【福島牝馬S】カギは中山牝馬S組の取捨 2着ホーエリートより6着ジューンオレンジを評価

2025 4/13 17:00勝木淳
福島開催の直近9回のデータから見る福島牝馬S,ⒸSPAIA
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日曜日に引っ越した福島牝馬S

福島の春は開催3週間と短い。開催の柱になるのは2週目日曜日の福島牝馬S。昨年までは東京・京都開催開幕と同じ週に行われており、今年は一週繰り上がった。さらに土曜から日曜日に移され、皐月賞当日に施行される。これは阪神アンタレスSと入れ替わった形で、アンタレスSは土曜日になった。

土日の曜日感覚も競馬ファンにとって染みついたものがある。今年は日程再編により、曜日の入れ替えも多く発生しており、阪急杯が土曜、チューリップ賞が日曜、フィリーズレビューが土曜、愛知杯は時期も曜日も動いた。阪急杯を除くと牝馬限定重賞ばかり。曜日が動いた重賞はここまで1番人気が未勝利、7、9、3、10番人気が勝った。これは偶然だろうか。

ここからは福島で行われた土曜時代の2015年以降、9年分のデータを使用して、今年の福島牝馬Sを展望する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【1-3-1-4】勝率11.1%、複勝率55.6%、2番人気【0-1-1-7】複勝率22.2%と波乱含みも、3番人気【4-0-0-5】勝率、複勝率44.4%、4番人気【1-1-2-5】勝率11.1%、複勝率44.4%と大きな波乱のイメージもない。

7、8番人気は各1勝、10番人気以下【1-1-3-47】勝率1.9%、複勝率9.6%と穴馬が走らないわけではないが、大穴上等というほどでもない。福島の重賞はイメージほど波乱決着ではないレースが多い。

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年齢では4歳【2-4-1-42】勝率4.1%、複勝率14.3%より、5歳【4-5-4-35】勝率8.3%、複勝率27.1%が確率上は上。また6歳【2-0-4-23】勝率6.9%、複勝率20.7%も悪くなく、ベテランが元気いっぱい。芝の立ち上がり時期と重なるため、極端に速い時計が出ない春の福島はスピードを問われない分、若い組優勢ではない。

中山牝馬Sのポイントは着順と位置取り

今年、新たに誕生した小倉牝馬S1着同着フェアエールング、中山牝馬S2着ホーエリートに実績馬ライラック、シンリョクカあたりが中心を担う。

前走中山牝馬S・着順別成績,ⒸSPAIA


このレースのキーは前走中山牝馬S【6-5-2-45】勝率10.3%、複勝率22.4%。その着順傾向は1着【1-2-0-0】勝率33.3%、複勝率100%と順当も、2着が【0-0-0-3】とキーレースの割に結果を残せていない。ついでに3着も【0-0-1-5】複勝率16.7%とよくない。

その分、4着【1-1-0-5】勝率14.3%、複勝率28.6%、5着【1-1-1-2】勝率20.0%、複勝率60.0%など巻き返し組が目立つ。10着以下【0-0-0-16】で、一桁着順であれば十分狙える。ホーエリートではなく、フィールシンパシー、ジューンオレンジ、エミューなどが候補だ。

前走中山牝馬S・位置取り別成績,ⒸSPAIA


中山牝馬Sでの位置取りをみると、逃げ先行優位の福島ながら、逃げ【0-1-0-6】複勝率14.3%、先行【0-2-1-7】複勝率30.0%と中山牝馬Sでの逃げ先行は結果につながらない。中団【3-2-1-15】勝率14.3%、複勝率28.6%など差した馬で、一桁着順が買う目安になる。

今年の中山牝馬Sは前半1000m59.6。2コーナーから向正面にあたる3ハロン目から5ハロン目まで11.9-11.7-11.4と加速する変則的な流れになり、終盤11.8-11.8-11.8-12.1と持続力を問う競馬だった。流れとしては早めに動いたホーエリートやフィールシンパシーを狙いたくなるが、データならジューンオレンジ、エミュー。この取捨選択が馬券的中のカギになりそうだ。

前走中山牝馬S・位置取り別成績,ⒸSPAIA


中山牝馬S以外はどんな傾向があるのか。前走距離を出すと、同距離【0-2-1-12】複勝率20.0%より1800m超の短縮が【3-2-2-17】勝率12.5%、複勝率29.2%と目立つ。中山牝馬S以外を狙うなら、距離短縮と覚えておこう。金鯱賞8着ライラック、白富士S6着シンリョクカなどが候補になる。

福島開催の直近9回のデータから見る福島牝馬S,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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