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【大阪杯】「天皇賞(秋)で4角4番手以内だった馬」は複勝率71.4%! データで導く穴馬候補3頭

2025 4/3 17:00鈴木ユウヤ
2025年大阪杯の穴馬イメージ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

データで見る「穴候補3頭」

今週末は阪神競馬場で古馬の芝中距離GⅠ・大阪杯が行われる。ドバイワールドカップデーと日程が被るためどうしてもメンバー分散が避けられないレースだが、それでも桜花賞馬ステレンボッシュやGⅡ連勝中のシックスペンスなど好メンバーが集う。流石、芝2000m路線は層が厚い。

かつては「産経大阪杯」の名称で天皇賞(春)の前哨戦として施行されていたが、2017年にGⅠ昇格。最初の2年こそ1番人気馬が勝利したものの、その後は6連敗中だ。今年も波乱はあるのか。様々な切り口のデータを駆使して3頭の穴候補を導き出した。


「前年の天皇賞(秋)で先行した馬」を狙え ホウオウビスケッツ

まずはホウオウビスケッツを取り上げる。3歳時からスプリングSで対ベラジオオペラの2着、日本ダービー0.2秒差6着など素質は高かった馬で、昨年の函館記念で重賞初制覇。天皇賞(秋)にも出走し、逃げて3着と健闘した。

JRAの古馬芝2000mGⅠは上半期がこの大阪杯、下半期が天皇賞(秋)と対をなしている。しかし両者の性格は大きく異なっており、端的に言えば「末脚のキレる差し馬」に向くのが天皇賞(秋)、「前々でしぶとく粘り込める先行馬」が有利なのが大阪杯だ。この違いを馬券に生かしたい。

大阪杯 前年の天皇賞(秋)の内容別成績,ⒸSPAIA


過去8年(※GⅠ昇格以降)の大阪杯において「前年の天皇賞(秋)で4角4番手以内だった馬」は【3-1-1-2】複勝率71.4%、複回収率314%とすこぶる好成績。一方、同5番手以下は【0-1-0-12】と明暗がくっきり分かれている。

別の視点だと、天皇賞(秋)の際に「上がり5位以内」だった馬は【0-1-0-6】複勝率14.3%、複回収率40%でパッとしない。むしろ「上がり6位以下」の方が【3-1-1-8】複勝率38.5%、複回収率169%と期待値が高い。つまり天皇賞(秋)で「先行ジリ脚」の競馬をした馬こそ、大阪杯では狙い目になるわけだ。

今年はベラジオオペラとホウオウビスケッツが該当する。「穴候補」という意味ではホウオウビスケッツに注目だ。上位人気に推されるであろうシックスペンスとは毎日王冠で対戦して0.1秒差、ベラジオオペラには天皇賞(秋)で先着している。

そしてなにより、岩田康誠騎手が騎乗した際は【2-2-2-0】と馬券圏内を外していない。もし勝てば岩田康誠騎手にとって2018年天皇賞(春)(レインボーライン)以来、約7年ぶりのGⅠ制覇。そのチャンスは十分にある。


2400m実績よりマイル実績 ラヴェル

2頭目はラヴェル。2歳時にアルテミスSで後の三冠牝馬リバティアイランドを撃破した。その後しばらく勝ち星から遠ざかったが、4歳秋にエリザベス女王杯2着、チャレンジC優勝と復調を見せた。

大阪杯では「マイル寄りの距離適性を持つ馬」がしばしば人気以上に好走する。17年7番人気2着ステファノス、18年6番人気2着ペルシアンナイト、19年9番人気1着アルアイン、23年10番人気3着ダノンザキッドあたりがその典型例だ。この点についてデータを出してみる。

大阪杯 距離実績別成績,ⒸSPAIA


過去8年の当レースで「過去にJRAの1600m戦で勝利歴がある馬」は【3-5-3-23】複勝率32.4%、複回収率79%。比較対象として同じくJRAの「2400m戦で勝利歴がある馬」も調べると【1-2-2-23】複勝率17.9%、複回収率39%と前者が優勢だ。

大阪杯は高速馬場のイン前決着になる年が多く、マイルもこなすくらいのスピードが要求される。逆に「ベストは2400m」というタイプは後手に回って結果を出しにくい。

マイルで勝ったことがある馬のうち、(距離を問わず)「GⅠ連対歴」もあれば【2-5-2-11】複勝率45.0%、複回収率109%で黒字域に入る。今年の登録馬ではステレンボッシュとラヴェルだ。

ラヴェルは金鯱賞の大敗がオッズに影響しそうだが、休み明けで前走比+12kg、自己最高馬体重を更新する480kgであったし、道悪も重なった。参考外とみなしていい。昨年秋も休み明け+16kgのオクトーバーSは6着に敗れ、2戦目のエリザベス女王杯で6kg絞れて巻き返した。その再現に期待したい。


「栗東所属のノーザンF生産馬」は複回収率132% ヨーホーレイク

最後はヨーホーレイクを選ぶ。ディープインパクト産駒の7歳牡馬だが、2年以上の長期休養もあってこれがキャリア13戦目。まだまだフレッシュだ。

ジンクス的な話になるが、大阪杯では1999年のサイレントハンターを最後に「関東馬」の勝利がない。一説には「関東馬が利用する阪神競馬場の出張馬房が駅に近く、音によるストレスがあるから不利」と言われることもあるが、真偽のほどは定かでない。もし本当にそれだけが原因なら他の阪神GⅠも一律に関東馬不振のはずだが、大阪杯以外にそういう傾向は見られない。

大阪杯 所属別成績,ⒸSPAIA


とはいえ、事実このレースに関しては関東馬が苦戦している。GⅠ昇格後8年で【0-2-2-29】複勝率12.1%、複回収率38%、対する関西馬が【8-6-6-64】複勝率23.8%、複回収率82%と優勢だ。

関西馬のうち、特に成績がいいのはやはり(?)「ノーザンF生産馬」で【5-3-4-27】複勝率30.8%、複回収率132%。さらに「前走で連対した馬」に絞ると【3-2-3-7】複勝率53.3%、複回収率186%と好走率が高く、妙味の面でも文句なしだ。

ここに当てはまるのがヨーホーレイク。直近3戦で重賞を2勝、毎日王冠では7着に敗れたが、自己ベストの上がり33.4秒をマークしながらもキレ負けしたという内容だった。瞬発力が問われる東京よりも阪神内回りの1周競馬が合うタイプ。この条件ならシックスペンスとの0.3秒差はひっくり返せて不思議ない。

《ライタープロフィール》
鈴木ユウヤ
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。好きな馬はショウナンマイティとヒガシウィルウィン。

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