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巨人・田中将大の進化をデータが証明、「魔改造」久保康生コーチと復活ロード一歩ずつ

2025 4/5 06:30SPAIA編集部
巨人・田中将大
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ⒸSPAIA

中日戦5回1失点で586日ぶりの日米通算198勝目

巨人・田中将大が3日の中日戦(バンテリンドーム)に移籍後初登板初先発し、5回96球を投げて5安打1三振3四球1失点で今季初勝利を挙げた。

初回、いきなり1番・岡林勇希、2番・上林誠知に連打されたが後続を打ち取ると、2回は三者凡退に抑える。3回に上林の中犠飛で1点を失ったものの、4回は三者凡退、5回も走者を出しながら切り抜けた。

96球と球数は多かったが、粘りの投球で1失点。味方打線が5回までに4点を奪い、2023年8月26日のソフトバンク戦以来586日ぶりの日米通算198勝目をつかんだ。

平均球速わずかにアップ

昨オフ、楽天を自由契約になった田中は、今春キャンプから久保康生巡回投手コーチの指導を受けて復活に着手。菅野智之を再生させ、「魔改造」の異名を取る久保コーチの理論を頭と体に叩き込み、一歩ずつ復活ロードを進んできた。

いきなり結果が出て無事に再スタートを切れた田中は、実際にどこが進化したのだろうか。昨年唯一の登板だった9月28日のオリックス戦(5回93球6安打1本塁打1三振2四球4失点で敗戦投手)と比較したのが下の表だ。

田中将大の球種別平均球速


まず球種別の平均球速から見ていこう。ストレートは143キロから144.9キロ、スライダー128.8キロから130.8キロ、スプリットは135.9キロから136.9キロなど多くの球種がわずかだが速くなっている。

もちろん36歳となった今、渡米前のような球威は望めないが、30代後半で球速が上がること自体が特筆ものだろう。

ストレートとスプリットの割合が増加

続いて球種別の投球割合は下のようになっている。

田中将大の球種別投球割合


ストレートが29.0%から35.4%、スプリットが9.7%から18.8%、カーブが3.2%から5.2%に増加し、昨年は投げていなかったカットボールも5.2%あった。

逆にスライダーは29.0%から26.0%、ツーシームは21.5%から7.3%、チェンジアップは7.5%から2.1%に減少している。

球種については甲斐拓也のリードやその日の状態、キレなどにも左右されるため一概には言えないが、ストレートが増えたのは平均球速のアップと無関係ではないかもしれない。ストレートが伸びていたからスプリットの効果も増大し、割合が増えた可能性もある。

空振り率もアップ

続いて球種別の空振り率も見てみよう。

田中将大の球種別空振り率


ストレートの空振り率は7.4%から2.9%に低下しているものの、スライダーは0%から12.0%、スプリットが0%から5.6%、チェンジアップが14.3%から50.0%にアップ。空振りを取れたことで投球が楽になった面もあるだろう。

「魔改造」効果で高めの抜け球が大幅に減少

最後にコース別の投球割合を比較してみた。

田中将大のコース別投球割合


内外角は大きく変わらないが、高めは44.1%から29.2%に減少した一方、低めは32.3%から55.2%と大幅に増えている。

スプリットが増えたせいもあるだろうが、やや横振りになっていた腕の振りを、上から叩くように縦振りに矯正した久保コーチの指導の賜物だろう。

高めに抜けるボールが減って低めに集められたことが、走者を許しても大ケガをしなかった要因と考えられる。

ボールが45.2%から56.3%に増え、ストライク率は62.4%から58.3%に低下しているが、コントロールミスというより低めをついた結果で、悲観することではないだろう。ボール球をうまく使うセ・リーグの野球に順応しているのかもしれない。

今回の田中の好投が決して偶然ではないことはデータが裏付けている。24連勝した頃のような球威はなくても、まだまだ抑えられることが証明された。

日米通算200勝まであと2勝。「魔改造」によって進化を遂げた田中の今後がますます楽しみになってきた。

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